ゴッチの教養館
日頃感じた雑学の疑問を誰も教えてくれないから自分で調べました
陪審員制度と裁判員制度(後編) 2004/05/30
(前編から続く)
 次に参審制について見てみましょう。
 参審制とは、国民から参審員を無作為抽出し、裁判官と参審員をあわせた合議体で裁判を行う制度 です。審員は有罪/無罪の判断だけではなく、量刑にも関わってくることになります。実は、この制度こ そ現在、日本で導入が考えられている「裁判員制」に近い制度と言えます。
 この制度のもとでは、参審員が裁判官に対して市民の意識を伝えられることになります。また、理由つ きの判決がでることになるため判断の根拠が明確で、それをもとに上級審での裁判も行うことが可能で す。参審員がいるため、審理の状況についてもわかりやすいものになります。
 問題点としては、職業裁判官と一緒に議論を行うため、裁判官の意見が参審員に対して影響しやす く、陪審制よりも市民の意識が反映されにくいのではないかと言われています。裁判官の意見がそのま ま通るようになれば、意味のない制度になってしまいます。
 これで誤解が解けましたでしょうか。少なくとも我が国において導入されようとしている制度は、人種差 別や偏見、マスコミなどによって判断が影響されやすい「陪審員制度」とは異なるようです。
 とは言え、この制度(裁判員制度)によっても、一般の市民が判決を下せるのですから、今までみたい にマスコミ各社も儲け主義一辺倒で好き勝手なことは報道できなくなるはずです。異常なまでに、マスコ ミの発言に意識を左右されやすい国民性でもありますし。
 この制度に関するコラムを書く度に、一本の映画を紹介しています。「もし、日本に裁判員(陪審員)の 制度が存在すれば、きっとこんな結果になるだろう」をテーマにした邦画です。その名も『12人の優しい 日本人たち』。実はこの映画に関しては、「面白い」と絶賛してくれた人と、「全くつまらない」と酷評する 人と、感想は賛否両論です。この映画を見る前に、『12人の怒れる男』というタイトルの洋画を見た方が いい。といった意見もありますが、何れにせよ、「裁判員」に任命されて困る前に、見ていて損はない映 画だと思っています。




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